あらすじ
人類はヴァンガードと呼ばれる世界秩序のもとに統一された。だがその平和の裏には、より深い統制構造が存在する――情報管理、思想矯正、そして絶対的な権限を持つ機関:OSI。あらゆる手段で「統一」を維持する、国家公認の組織である。
名も階級も捨てた男がいる。
エージェント88、ジャン・ヴェルヴォー。
特殊工作艦《メンデフェール》を率いる是正官。
無口で、感情を見せず、チョコレートを手放さない。
しかしその一手一手は、遥か先の未来を見据えて打たれている。
南太平洋の孤島に展開する同時多発作戦。表向きの目的は反乱勢力の制圧。だがその地下には、単なる武器庫では済まない何かが眠っていた。
傷を負いながら戦う者たちがいる。失いながら、それでも立つ者たちが。過去に囚われた者、命令と良心の間で引き裂かれた者、失ったものを抱えながらまだ有用であろうとする者。
島の裏側には、互いだけを支えに息を潜める兄妹がいた。エリオとヌア。「アセンダント計画」の産物である二人は、迫る嵐をまだ知らない。
損失は避けられない。
ある犠牲は選ばれ、ある犠牲は……防げなかった。
運命を知りながら、なお抗う。それがこの男の呪いだ。
《ノルナゲスト》は動き出す。