あらすじ
とある町のなだらかな丘の上の家に住む少年・地神律(じかみ りつ)は、二階にある自分の部屋の北向きの窓から見える塔が気になっていた。それは遠くの山の中腹の森の中から突き出していて、黒い屋根の白くて細長い塔だった。その塔の正体を周りの人たち、両親、友人、学校の先生などに聞いても誰も知らなかった。それを確かめに行くには、こどもの足では遠すぎた。
それでも毎日のように塔を眺めていたが、ある日の夜に塔から点滅を繰り返す光が放たれている事に気づく。高倍率の双眼鏡を手に入れて詳しく観察してみると、それはモールス・コードで、「ダレカイマスカ」と毎晩九時に三回送られていると分かった。それに応えて「ココニイマス」と返事を送ったのがきっかけで、それから毎晩、まだ見ぬ塔の住人と光による会話を続けて、交流を深めていった。
しかし、父親の仕事の関係で引っ越しが決まり、塔の住人を実際に会うことを決意して、最後の日に出かけることにした。その途上で、初めて歩く町の住人たちと出会い、そして、思いもかけなかった塔をめぐる争いに巻き込まれていく。
不思議な塔の秘密と少年の活躍を描いたジュブナイル・ファンタジー。