あらすじ
王国一の才女、エリシア・ルミール公爵令嬢。
腐敗した徴税制度を改革し、傾きかけた国家財政をたった一人で立て直した『救国の英雄』である。
だが婚約者の第一王子ルイフェンにとっては、都合の悪い『賢すぎる女』だった。
夜会の最中、浮気相手の令嬢と揉み合った王子がバルコニーから転落しかけた瞬間、エリシアは咄嗟に魔術で彼を救う。
だが命の恩人に返ってきたのは感謝ではなく、露骨な嫌悪と断罪だった。
「魔女は死刑だ。貴様との婚約は破棄する」
救国の才女は、その場で『魔女』として追われる身となる。
そして討伐役に名乗り出たのは、幼馴染であり『不死身のレオン』と恐れられる騎士だった。
「幼馴染でも、魔女は魔女です。必ず仕留めてまいります」
彼は王子から騎士団長の椅子を引き出し、堂々とエリシアに剣を向ける。そして、その手で、彼女を殺した……はずだった。
目を覚ましたエリシアを待っていたのは、誰にも知られていない山奥の小屋と、レオンの静かな告白。
「お前の死を偽装するため、今まで嘘を吐いてきたんだ」
一方その頃、王都は地獄になっていた。
エリシア不在で財政はたちまち崩れ、王子の失政と醜聞が噴き出し、貴族たちは「魔女を殺すのは早計だった」と責任の押し付け合いを始める。
「魔女を排斥しない国もある。そこで暮らそう」
「……いいですね。これからは二人で生きていくとしましょうか」
本作は、婚約破棄された救国の才女が、溺愛騎士と共に、彼女を捨てた祖国に最高の『ざまぁ』を届ける逆転譚である。