あらすじ
異世界に召喚され、血を吐くような思いで魔王を討ち果たした勇者。
しかし凱旋した彼を待っていたのは、栄誉ではなく、強欲な王国と信じていた仲間からの残酷な裏切りだった。
「聖戦」など嘘。すべては魔王領の資源を奪うための侵略戦争であり、自分はただの使い捨ての駒に過ぎなかったのだ。
致命傷を負い、人間が生きられない辺境の森『深域』へと逃げ延びた彼。薄れゆく意識の中で彼を見下ろしていたのは――かつて自らの手で殺したはずの魔王(銀髪の少女の姿)だった。
『ほう、久しいのぅ……まさかこのような場所で出会うとはなぁ? 勇者よ』
「……お前が、俺を救うのか」
かつての宿敵に命を拾われ、【勇者の加護】と【魔王の庇護】という二つの相反する最強の力を宿した男。
彼は忌まわしき王国から身を隠し、魔王と共に「ただの人間」としての静かで穏やかな日常を築き始める。
だが、王国はそのささやかな平穏すらも許さず、彼の恩師である老騎士を追討軍として差し向けてきた。
不器用な恩師の最期の願いと、その尊厳すらゴミのように嘲笑う王国軍を前に、男はついに迷いを捨てる。
これは世界のためではない。
俺を救ってくれた魔王との、「俺たちの日常」を守り抜くための、反逆劇。