あらすじ
「教え子を救って死ぬ」――完璧だったはずの俺の遺言(配信)、真実を知った聖女の慟哭によって世界ごと破壊されるまで。
国内最大の探索者ギルド『天啓の剣』で「結界しか張れない老害」と蔑まれ、クビを宣告されたクロード(42歳)。
かつて手塩にかけて育てた天才聖女セレスティアからも「あなたの古臭い結界は、もう必要ありません」と冷酷な言葉を投げかけられる。
だが、彼女たちは知らなかった。
クロードが長年、彼女たちを護るために、ダンジョン最深部から漏れ出すS級の【死の呪い】を、すべて自身の肉体に隔離し続けてきたことを。
寿命は、あとわずか。
クロードは愛する教え子を呪いから遠ざけるため、嫌われ者の悪役を演じきり、死に場所を求めて人類未踏の絶対禁忌領域『奈落の森』へと消える。
「さて、最後の晩餐は竜のステーキにするか」
静かに余生を過ごすはずだったクロード。しかし、荷物の中に紛れ込んでいた最新型ドローンが起動しており、彼の「神話的な日常」を全世界へリアルタイム配信していた!
S級の獄炎竜を出汁昆布扱いし、空間魔法で温泉を掘り当てるクロード。
その驚愕の光景に、世界は「現人神」の再臨と狂喜乱舞し、彼を捨てたギルドは「世界の防波堤」を失い自壊を始める。
そして――。
クロードが残した日記を読み、自身の栄光が彼の血を吐くような自己犠牲の上に成り立っていた真実を知ったセレスティアは、圧倒的な絶望の果てに【狂愛の怪物】へと変貌する。
「お迎えに行かなくては。私の、クロード様を……絶対に、二度と、死なせたりなどしません」
本人は静かに死にたい。世界は彼を崇め奉りたい。
そして病んだ聖女は、彼を永遠に「愛の鳥籠」へ閉じ込めたい。
これは、無自覚なまま世界を救い続ける男が、愛を拗らせすぎた教え子に追い詰められる記録。