あらすじ
幼馴染の 桐島 澪(きりしま みお)を病気で失ってから、 瀬川 蒼(せがわ あおい)は抜け殻のように生きていた。
あの日から二年。澪の笑顔も、声も、温度も――すべてが記憶の中だけに存在している。
ある夜、蒼は見覚えのない光に飲み込まれ、見知らぬ世界に迷い込む。
そこは「並行世界」だった。
澪が、生きていた。
しかしその世界では、蒼こそが二年前に死んでいる。
澪にとって蒼は、亡くした大切な人。
互いに、相手を失った世界を生きてきた。
二人は戸惑いながらも、惹かれ合う。かつて愛した人が、目の前にいる。触れられる。声が聞こえる。
だが滞在できる時間はわずかで、蒼は強制的に元の世界へ引き戻される。
そして気づく――並行世界へ渡るたびに、体に青黒いアザが増えていくことを。
それでも蒼は、また光の中へ飛び込んだ。
やがて二人は決断する。
どちらの世界にも存在しない、第三の並行世界へ行くことを。
二人がともに「生きている」世界が、どこかにあるはずだと信じて。
しかしその跳躍は、体への代償が最も大きい。
アザはやがて命そのものを蝕み、死をもたらす。
それでも――愛する人と、同じ空の下に立ちたい。
これは、世界の理に抗った二人の、最後の恋の話。