あらすじ

彼女が最初にしたのは、泣くことではなく窓を開けることだった。 前世は不動産会社の内覧会担当。 他人の理想の暮らしばかり演出して、自分の居場所は最後まで持てなかった。 転生先では悪役令嬢として断罪され、たどり着いたのは十年間放棄された廃領地。 空気は重く、建物は朽ち、誰もいない。 それでも彼女は朽ちた壁を確かめ、日当たりを見て、前世の癖で間取りを頭に描いた。 直した家を内覧会と称して開放した日、一人の男が現れた。 名前を聞いても答えない。外套を深くかぶり、部屋を隅々まで確かめて一言だけ残す。 翌朝、軒先には届くはずのない資材が置かれている。 男は何度でも来た。 彼女が家を直すたびに。 この男が誰なのか。 なぜこの土地は見捨てられたのか。 そして彼女がここにいる理由に、誰の意思が関わっているのか。 何も知らないまま、彼女は他人の家ばかり直し続ける。 自分のための間取りだけは、まだ描けないでいる。

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小説を読もう2026/02/23
  • 現在の作品断罪された悪役令嬢が廃領地の空き家を直していたら名前を名乗らない男が内覧会に通い詰めてきた