あらすじ
大阪・天王寺に暮らす真面目な会社員A。
波風を立てずに生きてきた彼に、初めて「この人や」と思える女性・Bが現れる。いずれ告白するつもりだった――そんな矢先、母から知らされる祖母の病状悪化。九十三歳、心臓が弱り、先は長くないかもしれないという。
「ばあちゃんに、ちゃんとした自分を見せたい」
迷っていたAは覚悟を決め、Bに告白。想いは通じ、二人は付き合うことに。さらにAは勇気を出して、祖母に会ってほしいと頼む。Bは静かに頷き、鳥取の病院へ同行する。
御堂筋線、新幹線、特急列車――慌ただしい道のりの先で、祖母は二人を温かく迎える。そしてBは自ら「結婚を意識したお付き合いをしています」と告げる。祖母は満面の笑みで祝福し、Aにある言葉を残す。
それから十日後、祖母は静かに旅立つ。
喪失感に沈むAを支えるB。
四十九日、二人は再びローカル線に揺られ、祖母の家へ向かう。田舎の景色の中で、Aは気づく――悲しみは消えない。でもそれは、前に進むための灯りにもなるのだと。
これは、大切な人を見送った青年が、
祖母の想いを胸に「自分の幸せ」と向き合う物語。
静かな別れと、新しい人生の始まりを描く、
じんわり温かいヒューマンドラマ。