あらすじ

朝間ナヲミが全身擬体に宿ってから、既に四半世紀が三つほどが経過している。 朝間ナヲミにとって、世界は少しだけ静かになった。だが、その分だけ世間でも居場所が狭くなりつつあった。 世界の剣呑さは減少したが、その分だけ世間の暗鬱さが増大したのだ。 それは、朝間ナヲミと共に時代を生きた者達が、一人、また一人と鬼籍に入っていったせいである。 問題の本質はそれが朝間ナヲミを孤独にしたと言うことではない。 それは、時代を生きた者達の大半が消え、その跡を新しい時代を生きる者達が埋めていったことにこそあるのだ。 朝間ナヲミが輝いていた時代は去り、信じていた常識が過去のものとなり、まったく新しい価値観が世間を席巻する様になったことにこそあるのだ。 朝間ナヲミ、そして森 葉子は、徐々に時代から取り残されて行く。 いや、時代は彼女たち二人を放置して勝手に進んで行く。 長く生きると言うことは、決して素晴らしいことだけではない。 主観的には極めて常識外れ、客観的には極めて仕方のない世間とのズレを知らしめられることが避けられなくなると言うことでもあるのだ。 そうやって、人間は否応なく、自らの老いと言う事実を突き付けられる。 そして、老いによって、自らも鬼籍へと入ることになる。 この話は、そう言う終わりの終わり。 朝間ナヲミと森 葉子と言う、二人でたった一つのユニットとなった者達の終点を描こうと思う。 折り返し地点ではなく、終点。ターミナル。 インド国鉄では2泊3日夜行列車(昼行でもある)は珍しくない。 それに乗車すると、2日目にはもう飽きてしまって、3日目には拷問状態で一秒でも速く終点に着かないものかと願ってしまう。にも関わらず、トラブルで列車の運行が遅延して、車内でプラスもう一泊、4日目に突入を強制されるなんて絶望もアルアルだったりする。 人生もインド国鉄の長距離列車の旅も、長過ぎるのは問題である。もしかしたら、他人と比べてあまりに長い寿命も同様に問題であるのかも知れない。 始めた物語は、途中の「めでたしめでたし」と言う「ハッピーのピーク」で切り上げるが賢い。でも、本当の最後まで描き切ると言う選択あっても良いだろう。 これは元々はフェワ・タール湖畔で、マチャ・プチャレを横目に、iPhone3Gsで書き始めた物語の結末。 もし、気が向いたら最後まで読んでやって下さい。

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小説を読もう2026/02/23
  • 現在の作品そして、二つの魂は事象の地平線を目指す。