あらすじ
帝国陸軍、第九師団ブルナイ中隊。
この部隊の問題は、中隊長が強すぎることだ。
ブルナイ・アサハネ中隊長は、魔学戦闘において帝国最高クラスの実力を持つ。ただし方向音痴で、書類は読まず、命令よりも「なんとなく」で動き、集中モードに入ると三日間消える。
参謀のシラヌイがいなければ、この中隊はとっくに空中分解していた。
副官のトウヤがいなければ、シラヌイがとっくに倒れていた。
三人はいつも、ふんだりけったりだ。
大正十四年、秋。帝都の外れに奇妙な報告が届く。山間の村、七百人が一夜にして跡形もなく消えた。残ったのは食べかけの膳と、微量の魔力反応だけ。軍は「魔学汚染の疑い」として中隊に調査を命じた。
これが、世界の底を揺るがす陰謀の、入り口だとも知らずに。
「ちゃーっと行って、ちゃーっと帰ってこれるよね?」
「できません。絶対に」
「えーなんで」
今日もこめかみを押さえながら、中隊は出動する。