あらすじ
数日前、俺は前世の記憶を思い出した。
此処とは違う別の世界で暮らしていたこと。
この世界が長らく読んだ小説の世界であること。
そのすべてが驚くほどにすっと入ってきた。
自分の名前はクロイ・ファウランジ。
原作には名前すら出てないモブキャラだ。
別の作品であれば主要キャラにでもなってみたかったものだが、この小説は少し違う。
俺の前世において、ずば抜けて一番のお気に入り小説なのだ。
だからモブであることはさして問題ではなかった。
むしろ主要キャラにでもなっていた方が問題だ。俺にとってそれは物語に対する冒涜だから。
それよりも、別の所に問題はある。
実は、この作品は途中の巻で刊行が止まっていた。
そこに加えて俺の推しキャラは死亡エンドを抱えた存在だ。
好きな小説の結末も見れず、挙句の果てには推しは死ぬ。
──ちょうどいい!
何の因果か。俺は運よくこの世界にいる。
ならば、推しの死を阻止し、永久に閉ざされた結末を見ようではないか。
前世では見られなかった理想的な結末を。
そうだ、主人公たちにはハッピーエンドが相応しい。
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