あらすじ
「おとうしゃんのカッコいいマシンに乗って、いっとうしょうとる!」
その言葉を、ナンジョウ・ミナモはずっと忘れられなかった。
レーシングドライバーとして地上のサーキットを走り続けてきた。やる気があったわけじゃない。ただ走っている間だけは、何もかも忘れられた——そのはずだった。
突然の出撃依頼が、ミナモの日常を塗り替えた。
高G適応能力を持つレーシングドライバーたちは、地球に迫る未知の生命体「ケライヤ」に対抗するため、宇宙艦隊「フィネス」の巨大兵器パイロットとして秘密裏に召集されていた。戦場は宇宙だ。けれどミナモには、コクピットの中でも「レコードライン」が見える。仲間のAI「ルゥ」と共に描く最速の回避軌跡が、死の嵐の中を切り開いていく。
そんなミナモの胸の奥に、ある日「声」が宿った。
ルシア——遠い星の王女。意識だけの存在として彼の中に生き、不思議な力でミナモを守り続ける少女だ。
「俺はもう、何が起ころうとルシアを信じる。誰になんと言われても、俺たちの道は俺が決める」
仲間たちもまた、それぞれの傷を抱えて宇宙を走っていた。死神と呼ばれる孤高のエース、秘密を背負い続ける青年、感情を鎧の下に隠す者、何かを失いながらも戦い続ける者。彼らの正義は、すれ違い、ぶつかり、それでも同じ空を目指す。
王女の力を狙う者、戦いの裏に潜む意志、仲間の中に潜む影——敵もまた、悪意だけではない。問いはいつも、簡単には答えが出ない。
一度きりの命を何に懸けるのか。その問いに、ミナモたちは自分の走りで答えを刻む。
宇宙(そら)を舞台に、レーサーたちが命を賭けてレコードラインを描く——巨大兵器×モータースポーツSF劇。