あらすじ
大正時代。ある事件に巻き込まれた文豪は、颯爽と現れた巡査に救われる。「仕事だから」と言う彼の言葉に、文豪の心は激しく揺れた。
眼鏡の奥に宿る危うい光。細い指が万年筆を握りしめる。
真面目で正義感の強い巡査は、誰にでも分け隔てなく優しい。その優しさが、文豪の心を狂おしいほどに縛りつけていく。
「あなたは知らないでしょうね。私がどれほど……」
嫉妬、執着、そして自己否定。弱々しく震える声で紡がれる想いは、次第に歪な檻となって二人を囚えていく。
気づかぬ者と、気づかれぬ者。
理解できぬ感情が、大正の闇に溶けていく__。