あらすじ
嘘をつく人の周りに、黒い蝶が舞う。
物心ついた頃から、リーゼロッテにはそれが見えていた。
「気味の悪い目を持つ令嬢」と恐れられ、社交界で孤立。聖女の嘘泣きが全て演技だと知っていても、誰も耳を貸さない。やがて冤罪を着せられ、婚約破棄。追放先は「呪われた辺境」ヴェルデン伯領。
ところが——「氷の辺境伯」と恐れられるアルベルトの周りには、黒い蝶が一匹もいなかった。
冷たい声。無表情な顔。なのに、この人の心だけが金色に澄んでいる。
辺境で初めて「ありがとう」と言われた日、リーゼロッテは決めた。
——もう、嘘だらけの王都には戻らない。