あらすじ
1988年9月、当時中国で「漢城」と呼ばれていた韓国の首都ソウルではオリンピックが開催されていた。広東省随一の名門校、中山大学の学生寮各部屋のテレビにはその開会式の模様が中継され、エリート学生達は熱心に見入っている。
二大会ぶりに東西両陣営が出揃った参加国史上最多のオリンピック、経済特区深圳の急激な発展に象徴される改革開放政策、それら新時代の幕開けの予兆に、寮の一室、計算機工学科男子学生達は心逸り熱気に溢れていた。しかし、成績抜群ながらも変わり者と評判の呂はオリンピック中継にまるで興味を示さず、強引に設置したプライベート用のテレビとビデオデッキにかじりついている。ブラウン管に映し出されているのは香港から取り寄せた日本のアイドルバラエティ番組のビデオテープ。日本のサブカルチャーをこよなく偏愛する呂であるが、彼はルームメイトに予言する。
「そう遠くない未来、北京でオリンピックが開催される頃には中国の科学技術は日本を陵駕し、AV機器に関しても中国製視聴覚デバイスが世界市場を席巻しているだろう。そのハードの普及に呼応し、ソフトも隆盛する。つまり目下、日本製ハードが高性能であるから日本産ソフトもナウく感じてしまうだけであって、中国製ハードの性能が日本を超えた時、中国産ソフトがナウく感じてしまう心理現象が発生し、中国アイドルがアジアのムーブメントとなっているはずだ」
呂はその持論を自らが実証するためのITインフラの構築、そして女子偶像団体(アイドルグループ)のプロデュースを立志するのであった。