あらすじ

捨てられた老人たちは、山の奥の穴で蔓を編んでいた。 土の匂いがこもる暗がりで、指だけが静かに動く。 立てぬ者は座って籠を形造り、 起きあがれぬ者は、寝たまま縄を編む。 今日一日を、生き延びるために。 それを町へ売りに行くのは、 村一番の怠け者と呼ばれていた青年だ。 目の詰まった、見事な品が次々と生まれる。 出来上がった物を見つめる老人たちの瞳は、 少年のように無垢で、誇らしかった。 次第に金が貯まり、青年はそれを給金として分け始める。 そこへ、長者の娘が言った。 老人たちの家族へ、金を届けてはどうかと。 それが、ワシには分からなかった。 「嫌。だって……彼らを捨てた家族だろ?」 長者の娘は黙り込み、 それでも「念のため」と、老人一人一人に聞いて回る。 「ご家族へ、届けましょうか?」 返ってきたのは、涙と感謝の言葉だった。 捨てられた老人たちは、息子のために働くことを選ぶ。 村に残る、飢えた家族へ金を届けるため、 再び、懸命に手を動かし始めた。 身体を使い、腹を満たし、 老人たちは目に見えて丈夫になっていく。 水を汲みに行けぬ者は、もういない。 そこにいるのは、目的を持った人間ばかりだった。 ……もう、村に帰って畑を耕したら? 気づけばワシは、 そんなことを考えるようになっていた。 もう、この老人たちは。 村へ戻ってもいいのではないかと。

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エブリスタ
エブリスタ2026/02/21
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