あらすじ
六歳の夏。
速水至は、泣きながら「この宿に残らなければならない」と話す少女の言葉を聞いた。
守るためには、金が必要だと知った。
それから彼は、すべてを捨てた。
友人も。
時間も。
健康も。
三年間。
血尿を流しながら、ただ一人で積み上げ続けた。
すべては、彼女を迎えに行くために。
だが、計算は残酷だった。
どれだけ積み上げても、期限には届かない。
それでも彼は止まらなかった。
止まれば、彼女の人生が奪われるから。
やがて、その狂気に触れた者たちが現れる。
戦友。
後輩。
OB。
そして、運命の日。
雪の降る温泉宿に、黒い車が止まる。
「雪城葵を迎えに来ました」
これは、三年で奇跡を作った男と、
救われることを諦めた少女の物語。