あらすじ
「卒業式の日に、迎えに行く」――その嘘みたいな約束が、私の二年間を縛り続けた。
理系の山奥、隔離施設のようなキャンパスで、私は一人の先輩に恋をした。
先輩がくれた、甘くてほろ苦い“ファジーネーブル”の味。
夜明けのベランダ、メンソール煙草の香りと一緒に交わした、残酷なほど優しい拒絶の言葉。
先輩が大学を去ってから、私には「呪い」がかかった。
他の誰に触れられても吐き気がする。誰の手も握れない。
心も身体も、あの夜のベランダから一歩も動けないまま、二年半の時が過ぎた。
そして迎えた卒業式。
目の前に現れたのは、記憶よりもずっと臆病で、弱々しく笑う「あの日」の先輩だった。
これは、甘いお酒と煙草の香りに囚われた少女が、約束の朝に呪いを解くまでの物語。