あらすじ
二十歳の会社員・三上 恒一は、母と二人で暮らしている。
毎朝スーツに袖を通し、静かな住宅街を抜けて職場へ向かう。
古い雑居ビルの三階にある小さな会社。
無口な新人、物静かな経理の女性、時折様子を見に来る厳しい上司。
人は少ないが、穏やかな職場だ。
出勤前には、隣の家に住む内気な少年・たけると言葉を交わす。
警戒心は強いが、最近は少しずつ心を開いてくれている気がする。
そんなある日、住宅街で出会った一人の少女。
高校一年生の彼女は、少し臆病で、やわらかな笑顔を向ける。
守らなきゃ。
なぜか、そう思った。
日常はゆっくりと続いていく。
小さな違和感を抱えたまま、優しさのつもりで重ねられる言葉と行動。
そしてある瞬間、
“守る”という言葉の意味が、静かに反転する。
これは、
自分を疑うことのなかった男の、
どこまでも穏やかで、取り返しのつかない物語