あらすじ
この街には、証拠を欲しがる人間が多すぎる。
浮気の写真。
別れの口実。
退職の代行。
夢を諦める理由。
だが本当に欲しいのは、そんなものじゃない。
元弁護士の探偵が営む小さな事務所。
ここに来る依頼人たちは、みんな決断の前で立ち止まっている。
俺は証拠を集めることもできる。
法的に追い詰めることもできる。
だが、背中は押さない。
壊れない選択肢をひとつ置いて、あとは本人に任せる。
証拠なんてなくても、人はちゃんと分かっている。
――だから。
「証拠はいらない。」
迷える夜を扱う、少しだけハードボイルドな連作短編集。