あらすじ

東京・神田のはずれ、路地を一本入ったところに「望郷」という居酒屋がある。 店主の及川誠一郎は、岩手の小さな漁師町を出て三十余年。無口で、愛想もなく、値引きもしない。だが、その夜の客が何を抱えているかを、黙って見抜く男だった。 秋刀魚の塩焼き。芋の子汁。いかの塩辛。 素朴な肴が、客の記憶の蓋をそっとこじ開ける。 故郷の親を看取れなかったサラリーマン。 夢を諦めて地方から出てきた若い女。 震災で帰る場所をなくした男。 離島に残してきた子どもを思う出稼ぎ労働者。 誰もが何かを置いてきて、東京で生きている。 望郷居酒屋は、そんな人たちが、知らず知らずのうちに流れ着く店だった。

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カクヨム
カクヨム2026/02/21
  • 現在の作品【毎日17時更新】望郷居酒屋 ――あの味が、あなたを待っている――