あらすじ
「お父さん、いつ帰ってくるの?」
9歳のチャンタが聞く度に、母のソピアは「もう少しだけ」と答えていた。
カンボジアの平均月収の7倍。日本で稼ぐ月30万円が、この家族の全てだった。父のチャン・ソムナンは、日本でトラック運転手として働いていた。
しかし、ある日突然、その声は途絶えた。
業務中の交通事故。遺体送還費用100万円。労災保険の複雑な手続き。言葉の壁。文化の違い。
「特定技能」という在留資格で日本に渡った父は、家族を連れていくことも許されなかった。
日本語も分からない妻が、一人で手続きに挑む。長女は学校を辞めて働くと言い出す。幼い息子は父の死を理解できない。
これは、グローバル化の陰で犠牲になる家族の、真実の物語。