あらすじ
死ねないことが、これほどの地獄だと誰が教えただろうか。
里の繁栄のために猛毒の「栓」とされたカグチは、内側から爆発しそうな毒の圧力に耐え、ただ無を願っていた。
そんな彼の前に、霧のように希薄な影が這い寄る。
「……見つけた。世界で唯一の、私の食事」
吸血鬼の少女ヨミが、カグチの毒に牙を立てる。
一人が産み、一人が喰らう。一人が離れれば、双方が死ぬ。
分かち合えるはずのない「毒」と「空虚」が、二人を一つの生命体として繋ぎ止めた。
里の追っ手、教団の刺客、そして世界そのものに拒絶されながら、彼らはただ互いの地獄を喰らい合い、生の実感を噛み締める。