あらすじ

バーで語られるのは、一組の幼馴染の男女の奇妙で痛ましい物語。 幼い頃から女に尽くし続けてきた男は、大学時代、偶然のいたずらから女に催眠術を掛けてしまう。 それは冗談半分の遊びのはずだった。だが、女は本当に催眠に落ち、男に恋するよう暗示を受け入れてしまう。 それから数年。 女は男遊びをやめ、献身的に男を愛し、二人は結婚し、子どもも授かる。 男は“手に入れた幸福”に酔いしれながらも、ふとした瞬間に妻が虚空を見つめる姿を目撃する。 ――この妻は、本当に自分を愛しているのか? ――それとも、催眠で作られた“偽物の心”なのか? 疑念は男の心を侵食し、やがて愛も欲望も奪い去る。 妻を抱いても、子を抱いても、男は「本物の心」を信じられない。 悩み抜いた末、男は結論を出せないまま、妻子の前から姿を消す。 生きているのか、死んでいるのかもわからないまま。 バーで語り終えた女は、最後に一言だけ残す。 「40手前の白髪の男性が来たら伝えて。 ――小夜子は、今でもあの家で待ってると」 その言葉を残し、彼女は静かに立ち去った。

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小説を読もう2022/10/12
  • 現在の作品彼女の本当の心はどこに? -リスペクト、こころ-