あらすじ
潮の香りが漂う、海沿いの無人駅。
錆びたベンチが、彼女の唯一の居場所だった。
周囲には明るく振る舞う陸上部員の彼女は、ある思いを抱えて一人で海を見つめていた。
それは、幼馴染である親友の圧倒的な才能に対する、静かな諦めと絶望だ。
誰もが認める完璧な選手である親友。
しかし、その内面はひどく歪で、彼女に対して異常なほどの依存心を抱えていた。
ある日、完璧だったはずの親友が、突然トラックを走れなくなる。
顧問の教師は二人の歪な関係を見抜き、冷酷に自立を促してくる。
突き放すか、それとも寄り添うか。
残酷な選択を迫られた二人は、やがて正しい成長を放棄する。
もう、走らなくていい。
これは、光の当たるグラウンドから逃げ出した少女たちの、仄暗くも美しい共依存の物語だ。