あらすじ
「その理想は、救済か。それとも処刑か――。」
数十年後の日本。人権意識の過剰な肥大と極刑の形骸化は、皮肉にも「死よりも過酷な更生」を誕生させた。
厚生労働省直轄、精更局第五調整室。そこは、言葉による対話が不可能な異常犯罪者から、理性を失いかけた犯罪予備軍まで、歪んだ精神を脳から直接是正し、社会復帰へと導く特務機関。
新人執行医師の葛城湊は、冷徹な上司・閑院志乃と共に、ターゲットが望む「偽りの天国」へとダイブする。
甘美な学園生活、壮大な異世界冒険、凄惨な戦場――。
だが、その輝かしい物語はすべて、ターゲットの脳にこびりついた妄執を剥離し、現実を直視させるための「外科手術」の布石に過ぎない。
「脳を焼き換え、現実を分からせてやる。……これは治療よ」
ときに絶頂から叩き落とし、ときに痛みを共有する。
精更局のプロフェッショナルたちが処方するのは、真の救済へと至るための「理想の地獄」。
これは、現代社会の歪みが産み落とした、不条理で痛快な現代ファンタジー臨床記録である。
【作者より:本作の執筆方針について】
※本作は、かつて「小説家になろう」にて公開していた作品を大幅に改稿・再構成したリメイク作となります。
尚、当時のアカウントも作品もなろうからは削除済です。
筆者は本来、文体が硬くなりやすい傾向にあります。そのため本作では、あえて不条理なコメディタッチのテンポを積極的に取り入れ、医療現場の重厚さとシュールな笑いの融合という新たな境地を試みています。
慣れない試行錯誤の中、執筆から「更生」、そして公開まで、手元でじっくりと時間をかけて修正を重ねております。そのため、公開テンポについては不定期となる場合がございますが、一話一話の「解像度」を極限まで高めてお届けいたします。
理想の地獄へと続く物語、どうぞ気長にお付き合いいただけますと幸いです。