あらすじ
王立学園への入学を控えた公爵令嬢エステルが、鏡の前でつぶやきかけた“悪役台詞”。
それを聞いた母セレナは確信する。娘には、偶然を装った破滅ルートが用意されている。しかも目撃者の配置、衝突の導線、噂の育て方まで……やたら丁寧。職人芸レベルに丁寧。
なら、母が先に折る。根元から。
階段での衝突、庭園での誤解、贈り物のすり替え。
次々に仕掛けられる“イベント”を、セレナは段取りと優しさで肩透かしにしていく。
しかし、宮廷の実務官は言う。「物語には悪役が必要だ」と。
娘を役にする秩序なら、いらない。
母は娘の手を取り、娘は自分の言葉で宣言する。
「誰かを傷つける役になりたくありません」と。
破滅フラグが折れた先で残ったのは、舞台ではなく家族の未来。
母子が選ぶのは、断罪よりも、笑って生きる道だった。