あらすじ
全てが巨大企業(メガコーポ)の戦略AIによって「最適化」された近未来のディストピア。上層の特権階級であり、軍事AIの運用担当だった参謀・カナメは、ある下層区画をまるごと「切り捨てる(虐殺する)」というAIの最適解への署名を拒否したことで、全てを奪われ下層スラムへと墜落する。
生きるための知識も暴力も持たない彼が、命の危険が迫る絶望のどん底(鉄の墓標)で出会ったのは、瀕死の重傷を負いながら「アンタが、あたしを見捨てなかった神様だ」と笑ってカナメにすがりつく、名もなきサイボーグの少女(レイナ)だった。
十五年前の「1000ドルとマフラー」という、カナメ自身も覚えていないたった一度の施し。それを命の恩義とし、全身が機械化された後も狂おしいほどの執着と献身で見つめてくる狂犬。
過酷なスラムの暴力の文法を熟知する彼女の有用性を「生存確率(コスト計算)として妥当」だと判断したカナメは、「俺の指示なしに人は殺すな」というたった一つの条件で、彼女の手綱を引く(飼う)ことを決める。
徹底した損益計算しかできない「冷たい論理の男」カナメ。
彼に利用されることに無上の悦びを感じ、自らの命を擦り減らしてでも彼の計算通りの暴力(道)を切り拓く「熱い狂犬」レイナ。
およそ噛み合うはずのない2つの歯車が、泥と硝煙の中で噛み合った時。
上層の「完璧な最適化」にとって、彼らは最悪のバグ(ノイズ)となる——。
これは、どん底に落ちたエリートが、自分だけを崇める暴力の化身(ヤンデレヒロイン)を武器に、理不尽な企業社会(システム)へ反逆し、成り上がっていくディストピア・サイバーパンク。