あらすじ
「――君との婚約は破棄する。僕が選んだのは、聖女ミレーヌだ」
卒業の大舞台でそう宣言した第一王子フレデリクに対し、公爵令嬢ノエラの反応は……渾身のガッツポーズだった。
「やったぁぁぁっ! 自由だぁぁぁっ!!」
会場、凍りつく。王子、目を見開く。聖女、固まる。
そして――フレデリクは、人前で泣いた。
ノエラには生まれつき【絶対鑑定眼】というスキルがある。人・物・魔法の「真の情報」が全て視える目だ。しかしこの能力、見えるのは真実だけ。嘘で塗り固められた宮廷生活は地獄でしかなかった。
特に最悪だったのが、王子の傍にいる聖女ミレーヌ。ノエラの目には彼女のステータスが丸見えだ。
(【聖女の加護】……なし。【魅了・洗脳】……あり。スキル名『涙の支配者』――やっぱり全部フェイクじゃないですか)
だが、婚約者の立場では迂闘に告発できなかった。証拠がノエラの「目」にしかないからだ。
自由になった今は別。ノエラは去り際、振り向きもせずに一言だけ残す。
「殿下。聖女様のスキル欄、一度ご自分の鑑定士に調べさせたほうがいいですよ。『涙の支配者』って、聖女のスキルじゃなくて魅了系のスキルですから」
会場がどよめく中、ノエラは晴れやかな笑顔で式場を後にした。