あらすじ
昼夜逆転の生活を送るWEBデザイナーのアキ(24)と、終電帰りが続く建築アシスタントのナツミ(24)。
東京の狭い路地を挟んで、互いのベランダの距離はわずか5メートル。しかし、生活リズムが全く違う二人が顔を合わせることは一度もなかった。
ある日、アキは写真投稿SNSで奇妙なアカウントを見つける。自分と全く同じ時間に、全く同じ夕焼けの雲を、わずかに違う角度から撮っているそのアカウント。それはなんと、向かいの部屋に住む「彼女」のものだった。
窓の外の雨音、遠くを走る電車の音。
SNS上の「いいね」と短いメッセージだけで、顔も知らない二人は確かに惹かれ合っていく。しかし、互いに「5メートル先にいる」と気づきながらも、現実のドアを叩く勇気は持てないままだった。
そんな折、彼女のアパートの取り壊しが決まる。
「最後に、いつも写真を撮っているベランダから手を振ってもいいですか?」
しかし引っ越し当日の夕方、街は季節外れの台風に見舞われ、けたたましい踏切の警報音が二人の間を引き裂いてしまう。
たった5メートルの距離を越えられなかった二人が、半年後、冬の澄んだ空の下で起こす小さな奇跡の物語。