あらすじ
三十歳、職歴なし、友達なし、将来の希望もなし。
そんな俺が目を覚ますと、なぜか“妊娠していなかった王妃の胎内”から生まれていた。
しかも赤ん坊ではない。
姿はそのまま三十歳、ただし手のひらサイズ。
異世界《ファンタ》ではそれが“勇者誕生の預言”だったらしい。
十分に食事を与えられた俺はやがて普通の大きさに成長し、最強と名高い勇者ライトノベル・オヨムのパーティに加入することになる。
――だが、俺は魔法を覚えられない。
どんな魔法も数分で忘れる。
さらに最悪なことに、俺の近くにいるだけで他人も魔法を忘れてしまう。
役立たず。
災害。
歩くバグ。
そう言われ、勇者パーティから追放された。
だが一年間の孤独な修行の末、俺は気づく。
忘れるのではない。
“忘れさせる”のだ。
狙った相手だけに。
この世界に本物の魔物はいない。
ドラゴンも、ゴブリンも、スライムも――すべては腐敗した貴族が魔法で姿を偽ったもの。
ならば。
魔法を忘れさせればいい。
これは、何も持たなかった三十歳ニートが、
“忘却”という最悪のスキルで異世界の腐敗を暴いていく物語。