あらすじ

天界の天使エルは、生まれながらに七枚の羽根を持ち、それを失うたびに感情を取り戻していく存在だった。かつて六人の人間を守り、そのたびに六枚の羽根を落とした彼女に残るのは、最後の一枚。次に恋をすれば、完全に人間になってしまう。  そんなエルに与えられた最後の任務は、十五歳の少年・佐藤ユウを十八歳まで守ること。孤独を抱え、生きる意味を見失いかけたユウを前に、エルは「二度と愛さない」と心に誓いながらも、その穏やかな笑顔と寂しげな瞳に惹かれていく。雨の夜、傘を差し出した瞬間から二人の距離は少しずつ縮まっていく。ユウはエルにだけ心を開き、絵を描く才能を見せ始める。彼のスケッチブックには、いつも公園で一人座る少女の後ろ姿——エルの姿があった。見守るつもりが、いつしか互いが互いの孤独を癒やす存在になっていた。  しかし、未来視でユウの「死の予兆」を見たとき、エルは選択を迫られる。羽根を使えば、ユウを救える。けれどそれは、天使としての自分の終わりを意味した。迷いと涙の果てに、事故当日、エルは最後の羽根を燃やし、身を挺してユウを庇う。光と共に羽根は散り、エルは人間へと還っていく。ユウの胸には、彼女のぬくもりと「生きてほしい」という祈りだけが残った。  数年後、ユウは夢だった美大に進み、初の個展を開く。会場の一角には、公園のベンチに座る少女の絵が並ぶ——背中に、今にも消えそうな透明の羽根をたたえた少女。一方、街でそのポスターを目にした若い女性は、理由もなく胸の奥が温かくなる。名前も姿も違う、けれど彼女は微笑んだ。 「会いに行ってみようかな」羽根のない空の下で、消えてもなお、愛はかすかに光っていた。

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エブリスタ
エブリスタ2026/02/19
  • 現在の作品羽根のない空を愛した