あらすじ
三十代後半、独身。
少しさえなくて、ちょっとドジな男性。
凍える2月の朝、テーブルの角に足をぶつけるところから始まる彼の一日。
仕事では目立たず、うまくいかないことも多い。
夜になると、誰にも聞かれない小さなため息をつく。
けれど彼には、ひとつだけ特別な存在がいる。
真っ白な雌猫「ハナ」。
窓辺から彼の背中を見送り、
落ち込む夜にはそっと膝に乗り、
言葉の代わりに体温でエールを送る。
誰も気づかない優しさを胸にしまいながら、
それでも前へ歩こうとする彼の姿を、
ハナは知っている。
冷たい風の向こうに、ほんの少しだけ春の気配が漂う2月。
やわらかな光が、彼をそっと照らし始める。
これは、
さえない男と、
彼を信じ続ける一匹の猫が紡ぐ、
小さくて確かな“希望”の物語。