あらすじ
クラスの輪に馴染もうとしない俺――矢島凛太郎が昼休みに向かう場所は、誰もいない屋上だけだ。そこに「いるはずのない人間」がいた。
朝倉日向。クラスの中心で、いつも光の中にいる女の子。
赤く腫れた目で桜を見つめる彼女に、俺はなぜか聞いてしまった。
「どうして泣いてたの」
返ってきたのは、予想外の答えだった。
「好きな人から告白されたのに、断っちゃった」
それから俺たちは、特に約束もなく屋上で昼飯を食うようになった。教室では他人のまま。
屋上だけが、俺たちの世界だった。
桜が散り、葉桜になっても、彼女はここにいる。
俺の語彙では「好き」としか説明のつかない何かを抱えたまま――俺は今日も屋上へ向かう。