あらすじ
一年前、匿名の絵に救われた人気クリエーター・雪白風雅は、その線の主が“かつて淡い気持ちを抱いていた職場の後輩”だとは知らなかった。
ーーその後輩、鏡見有莉澄は絵を諦め、一般企業で働いていた。
ただ一人、雪白景兎だけが、彼女の心に残り続けていた。
一年前の雪白は、仕事の重圧から深いスランプに沈んでいた。
そんな折、SNSで偶然目にした「ハムスターさん」の絵が、
彼の迷いをそっとほどいてくれた。
“この線は、まだ前に進もうとしている”
そう感じた雪白は、礼を伝えたくてDMを送る。
互いに本名を伏せたまま交流が始まるが、
有莉澄は雪白のプロフィール写真を見てすぐに気づいていた。
「この人……景兎先輩だ」
けれど、過去の後輩としてではなく“今の自分”として向き合いたくて名乗らない。
やがて雪白が多忙になり、DMは途切れがちになる。
そんな中、有莉澄は偶然、彼がコンテストの審査員を務めることを知る。
「知り合いとしてではなく、作品で気づいてほしい」
その思いだけを胸に、彼女は再び筆を取った。
審査の日。
雪白は提出作品の中に、一年前、自分を救った“あの線”を見つける。
作者名──鏡見有莉澄。
ハムスターさんであり、かつての後輩であり、
そして“雪白風雅としての自分”を見てくれた唯一の相手だった。