あらすじ
地方の山村で女子高生が失踪した。
残された最後の音声は、ノイズ混じりの一音だけ。
「ら」
取材のため村を訪れた地方新聞の記者・朝倉真琴は、すぐに奇妙な違和感に気付く。
村人が「ら行」を使わないのだ。
子供たちは「らりるれろ」を知らず、学校の五十音表からはその行が削られていた。
やがて真琴は、村役場の地下で封印された記録を発見する。
1950年代、村では連続失踪事件が起きていた。
消えた者たちに共通していたのは、ただ一つ。
失踪前、“ら行”を発音していたこと。
村は長い年月をかけ、ある禁忌を守り続けていた。
―ら行を使うな。
それは迷信ではない。
それは、封印だった。
しかし現代。
SNSという新しい言葉の拡散装置が、封印を破り始める。
言葉は、音ではない。
それは“呼びかけ”だった。
そして返事が来る。