あらすじ
石は、都を守る。
山は、命を育てる。
飛鳥の宮では、蘇我入鹿が巨大な石の都を築いていた。
外敵に備えるための、文明の選択。
だが石を切り出すたび、
山は荒れ、蜂は去る。
蜜蝋が尽きれば、仏像は鋳られず、祈りは形を失う。
里で蜂を育てる少女・ミツ。
阿呆を装いながら宮中に身を置く葛皇子(かつらのみこ)・ハル。
本来交わるはずのない二人は、蜂倉山で出会う。
その出会いは、
眠る獅子の胸に、静かな火を灯した。
文明は山を削り続けるのか。
それとも、山の理に学ぶのか。
石と山が交わるとき、
飛鳥の未来が試される。
歴史の陰で揺れる、
名もなき命と、為政者の覚悟の物語。