あらすじ

大公国の雪深い街道を、帝国軍の華やかなパレードが進む。勝利を確信し、軍楽隊を鳴らして行進するその姿は、かつての「帝国の至宝」フリズナ公爵ミケーレが最も嫌悪した「死に至る行進」そのものだった。 大公国軍総司令官フリーデリケ公女。彼女はかつて帝国の軍事アカデミーで、ミケーレから軍事の真髄――「兵站(ロジスティクス)」という名の、人間を人として留め置くための残酷な科学を叩き込まれた愛弟子だった。 三十年前、窓の外に降る雪を眺めながら、二人は地図を広げて戦略を練り、そして唇を重ねた。師弟であり、共犯者であった二人。しかし、ミケーレは帝国の粛清によって刑場の露と消え、彼の教えは帝国から消し去られた。 今、ミケーレの遺志を継ぐのは、彼を処刑した帝国ではなく、亡命者たちを受け入れた大公国だった。 「愛する人が守り育てた軍を、私が壊す。……これが私の提出する、最後のレポートよ」 師から受け取った幸福を、別の男への絶望の種として蒔いたあの日。スズランの栞に託された呪いと、雪原を赤く染める兵站戦。天才の教えを血肉に変えた女たちが、傲慢な帝国軍を静寂の墓標へと誘う。

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小説を読もう2026/02/17
  • 現在の作品兵站(あい)とスズランの栞