あらすじ

旧正月の喧騒を抜けた路地裏で、私はいつものように半歩遅れて彼女の背中を追っていた。 美咲の長い黒髪が街灯に揺れるたび、胸がざわつく。 人混みを避けて連れて行かれた小さな公園のベンチ。 冷たい風に震える彼女の指を握り返したら、 「今年も一緒にいられてよかった」 小さな声で、でもはっきりと言葉が落ちてきた。 爆竹の音が遠く響く中、 彼女の頬に残る胡麻団子の甘い匂いと、初めて触れた唇の柔らかさ。 「……私も」 ようやく絞り出した返事は、自分でも情けないほど震えていた。 旧正月の夜は、まだ終わらない。 この温もりが、来年も、その先も続くように。 私はそっと、彼女の髪に顔を埋めた。

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カクヨム
カクヨム2026/02/17
  • 現在の作品旧正月の提灯の下で、君の唇が甘かった