あらすじ
百年前、突然海に飲み込まれた港町・蒼波(あおなみ)。
地図から消えたその街は、満月の夜だけ海の底に姿を現すという。
高校生の湊(みなと)は、祖母の遺品の中から古い懐中時計を見つける。
その時計は満月の夜、海を割り――沈んだ街への道を作った。
そこで出会ったのは、白いワンピースを着た少女・澪(みお)。
彼女は百年前から、ずっと“十五歳のまま”だった。
「ここは、時間が止まった街なの」
しかし本当は止まっているのは街ではない。
――止まっているのは、彼女だけだった。
澪はこの街の“最後の錨(いかり)”。
彼女が存在する限り、街は完全に消えない。
けれどもし彼女が“歳を取る”ことを選べば、
街は泡のように消える。
湊は選ばなければならない。
街を残すか。
少女を未来へ連れ出すか。