あらすじ
十三歳の少年、光の世界は、天井や壁に開いた「穴」から覗く世界だった。
車椅子で暮らす光は、母や父、介助者の遠藤、学校の先生や同級生を、すべてその穴越しに見ている。
父はすでにいなくなり、母はときどき「おまじない」をすると言って姿を消す。光は母の言葉を信じ、「良い子」でいようと決める。
学校では折り紙のツルを習い、同級生のむっちゃんとのやり取りを通して、光は「ありがとう」や「ごめんなさい」といった言葉の意味を少しずつ覚えていく。
穴越しに見える限られた世界の中で、光は母の願いとともに、ゆっくりと自分の世界を広げていこうとしていた。