あらすじ
1988年、バブル景気たけなわの日本。
ソウル五輪フェンシング日本代表に内定していた但馬分仂(たじまぶんろく)は、酒場で起こした傷害事件により内定剥奪、実刑こそ免れたものの、フェンシング協会からも追放の憂き目に遭う。
それ以来、但馬の生活は荒れ果てていった。日雇いや夜の街での用心棒として日銭を稼ぎながら、道場破りやストリートファイトに明け暮れていたのだ。
ある時、但馬は雇われ先のバーで、力士と暴力団員との乱闘に遭遇する。
先輩力士たちの大立ち回りを、加勢するでもなく制止するでもなく、ただ静かに見つめる序ノ口力士、大舵(おおかじ)。
但馬は大舵の身に纏う空気が、ごく僅かに歪んでいるのを感じ取った。
「コイツと闘りてえ…」
明くる日、但馬は大舵の所属する大徒波(おおとなみ)部屋の門を潜るのであった…。
フェンシングと大相撲。ともに長い歴史を持ちながら、ついに交わることのなかった両武道。
「強くなりたい。どこまでも、強く――」
男達の熱き想いが、ついに禁忌の扉を開く。