あらすじ
【電撃小説大賞応募用あらすじ】※ネタバレ含む注意
クラレンス村近郊に十年ごとに現れる「吸血鬼の城」。吸血鬼は赤い月からやってきた人類の敵であり、村では二百年前に吸血鬼を退治した「緑の聖女クラレンス」の伝説があった。
吸血鬼の城に現れるという弱い吸血鬼を退治する祝祭「クラレンス祭」に盛り上がる村人たちに反して、寄り合い酒場でその開催を聞いていた旅人マリーは慌てる。彼女こそこれまでの百年間、都合十回のクラレンス祭を「討伐されたフリ」をしてやり過ごしてきた当の吸血鬼「|偽祖《フェイクブラッド》」だった。慌てて村人たちへの迎撃準備を始めるが、期間もなく、眷属たちも心許ない。対して祭の参加者は過去最大で、吸血鬼退治にかこつけた婚活イベントと化していた。
マリーは村に潜入し、参加者への飲み物に下剤を仕込んで弱体化させる作戦を実行する。しかし部下のドジで自身も下剤を直飲みしてしまい、マリーは激しい腹痛に襲われる。かろうじて自身の館へと戻ったマリーに、村で仲良くなった者たちとの対決が迫る。吸血鬼ハンターたちとの戦闘によって絶体絶命の危機に陥ったマリーは、最後の切り札——古代地球人の血を摂取する。
はるか昔の戦争を生き残り、月に逃げた人類。彼らは赤くなった地球から注ぐ放射線から身を守るために、白い人工血液「|偽血《フェイク・ブラッド》」を開発。文明の発展により手にした、超常の力を発揮できる赤い血を放棄した。吸血鬼化とは、白い血が赤くなるという地球人への先祖返り現象だった。
二百年前、吸血鬼を根絶するために地球にある宇宙線源を断つ計画に協力することになったマリーは、館の機械知性体ロランから治療と改造を受け、古代地球人と同等の力を振るえる存在となっていた。その力で今回のクラレンス祭も無事切り抜けたマリー。彼女は忘れゆく記憶と孤独を抱えつつ、人々を守るという人間時代からの使命を遂行するため、永い旅の準備を続けるのだった。