あらすじ
かつて、この地には凄惨な終末戦争――『人亜戦争』が吹き荒れていた。旧人類と、彼らが生み出し虐げてきた亜人たちによる絶滅戦。その激動の渦中、一人の女性科学者は、国家の狂気や非道な実験に抗い、科学者としての、そして親としての「最後の一線」を孤独に守り抜こうとしていた。それから長い時が流れ、世界は変質したナノマシンの霧――『ナノヘイズ』に深く包まれていた。人類は絶滅し、そこはドワーフや獣人、魔族たちが旧文明の遺構を継ぎ接ぎして生きる、異形の地。
空に浮かぶ安息の地『アークポッド』で目覚めた最後の旧人類・ミーヴェル。しかし、その安らぎは崩壊の危機に瀕していた。
「……このままでは地上へ墜落する。それを止めるには、地上に散った基幹ユニットを回収するしかない」
たった一人の相棒である超高度AI『アイ』と共に、少年は未知の種族たちが息づく地上へと降り立つ。
母が願った安寧の、その成れの果て。崩壊の危機にある「家」を守るため、偽りの種族を名乗り、不可視化して頭の上に乗る「重い」相棒と共に、少年は世界を巡る旅に出る。
鉄と蒸気のドワーフ国。深い森の獣人。そして高濃度汚染地帯。
これは、孤独な少年が母の残響に背中を押され、歪な世界の熱に触れていく、再生と放浪の物語。