あらすじ
世界最大の奉仕団体「冥土」。
飢えた者に食を、病む者に薬を、荒れた土地に水と道を――。
救済を掲げるその白い手は、確かに多くの命を救ってきた。
だが同時に、その白の奥で密かに積み上げられていたものがある。
人を兵器へと作り替える、禁断の実験。
合成獣、抑制剤、拘束具、首輪、検体番号。
救いの名のもとに、無数の犠牲が正当化されていく。
生物兵器として生み出された少年――ハクヤ。
自分が何者なのかも知らないまま、冥土に導かれ、冥土に呑まれかけた彼は、入団したその日に真実へ触れる。
白い廊下、白い灯、白衣の研究者。
そして、琥珀の瞳を持つ白いフードの女と出会う。
その女の名は――エイゼ。
冥土が生み出した最強の実験体、合成獣グリフォン。
かつて無数の戦場を踏み、命令のままに翼を広げ、血を浴びてきた存在。
彼女は「ここから出ろ」とハクヤに告げる。
だがその言葉は警告であると同時に、祈りだった。
ハクヤを守るために、すべてを背負った“母”の――。
彼の周りに集まるのは、冥土に奪われ、歪められ、それでもなお生きることを捨てなかった者たち。
復讐ではなく、生存のために。
憎しみではなく、問いを捨てないために。
血と信仰で築かれた白き都市メイロポリス。
その頂に立つのは、救済を歪めた創設者――アルマゲドン。
名医として人を救ったはずの男は、いつしか「人はなぜ脆いのか」という問いに取り憑かれ、救いを改造へ、祈りを実験へ変えていった。
翼を授けられた者は祝福か、それとも罪か。
それとも――祝福と罪は同じ形をしているのか。
奪われた過去。
ねじ曲げられた信仰。
切り裂かれた家族。
それでも彼らは選ぶ。
壊すのではない。作り直すのだ。
冥土をただ滅ぼせば、救済の網は崩れ、弱い者から先に死んでいく。
守るべきものと断ち切るべきものが、同じ白の中に混ざっている。
だからこそハクヤは、誰よりも残酷な選択を迫られる。
救いは、誰のための救いか。
正しさは、誰の正しさか。
そして――生きるとは、何を失うことなのか。
これは、
“生物兵器”と呼ばれた少年が、
断罪と改革の狭間で、世界の在り方そのものを問い直し、それでも前へ進むことを選ぶまでの物語。
その翼が最後に指し示すのは、救済か。破滅か。
――答えを選ぶのは、彼自身だ。
この作品は何度も書き直しながら制作しています。
幼い頃のイマジナリーフレンドをもとに、物語と世界観を丁寧に作り込んでいます。
更新はゆっくりですが、少しずつ続けていく予定です。
反応や感想をいただけたらとても嬉しいです。幼い頃の私も、きっと喜びます。