あらすじ
「ガラケーなんて使ってる女、恥ずかしくて紹介できないんだよね」——三年付き合った彼氏・拓也に、合コンの場で公開処刑された篠原凛子、29歳。時代遅れと嘲笑われた折りたたみ式携帯電話には、8年前に亡くなった母からの最後のメールが残されていた。『凛子は凛子のままでいいのよ』。データ移行できない古い形式だから、機種変更すれば消えてしまう。だから、ずっと守り続けてきた。その理由を知っていたはずの拓也は、それでも私を捨てた。会社を辞め、すべてを失ったと思った私が出会ったのは、古い機械を修理する小さな店。壊れたラジオ、動かなくなった時計、誰かの思い出が詰まった「時代遅れ」のものたちを、丁寧に直す人がいた。古いものを笑う世界で、古いものを大切にする人がいた。これは、母の言葉を胸に「私のまま」で生きることを選んだ女性が、本当の居場所と、本当に大切にしてくれる人を見つける物語。——後悔するのは、いつだって捨てた側だ。