あらすじ
俺は屑だった。
唯一の友を助けられなかったあの日から。
かつて愛犬を見殺しにした激しい後悔と罪悪感を背負って生きる男、山城健太。
彼には誰にも言えない秘密があった。
それは「10歳を超えた老犬の声が、人間の言葉として聴こえる」こと。
保健所の冷たい檻の中で震える犬や、人間の身勝手な理由で行き場を失った老犬たち。
健太は彼らの「最期の言葉」を聴き届けるため、私財を投げ打ち、老犬たちのための楽園(老犬ホーム)を作り上げた。
システムの一部として命を処分することに絶望していた元保健所職員の獣医師・町田や、医療の限界に打ちひしがれていた循環器科の権威・白鳥、そして動物愛護に燃える外国人スタッフのGGなど、傷を抱えた不器用な人間たちが施設に集まっていく。
そして施設には、面倒見の良い雑種のモモ婆ちゃん、元番犬のバロン、哲学者のサブといった、個性豊かで愛すべき老犬たちのコミュニティがあった。
高額な手術費用の壁。
狂犬病ワクチンの副反応という深いトラウマ。
過剰な愛情ゆえのすれ違い。
健太は「老犬の通訳」として、町田たち獣医師の確かな医療技術と連携しながら、現代のペット事情が抱えるシビアな現実と向き合っていく。
犬たちの純粋な「遺言」を聴き続けた男の、終わらない贖罪の記録。
残酷な現実の先にある、少し切なくて最高に温かい、命の物語。
※本作品は少し変わった構成でお届けしております。
最初2話で完結、その後が主人公の人生における幕間劇として成り立っております。