あらすじ

【王宮の奥、白銀の檻】 王国の守護獣として祈りを受ける「聖獣」。その正体は、呪いによって巨大なうさぎの姿へと変えられた、第一王子・アルフレートだった。 喉は人の言葉を失い、骨を軋ませる呪いの激痛に、ただ独りで耐え続ける日々。 そんな彼の元に現れたのは、一人の不遜な飼育員、エルン。 エルンは、誰も気づかなかったアルフレートの「痛みを隠す短い呼吸」を見抜く。 「怒ってるわけじゃない。……痛いんだな」 【禁忌の接触――指先の調律】 聖獣に素手で触れることは、王宮の絶対的な禁忌。だがエルンは迷わず手袋を外し、その指先で白銀の毛並みに触れた。 その体温は、冬の鉄のように冷えきった呪いを、ほんの少しだけ溶かしていく。 孤独だった王子は、初めて「甘える」という降伏を知る。やがて大きな頭をエルンの膝に預けたとき、二人の間に「共犯」という名の絆が生まれた。 しかし――王宮の影に潜む黒い悪意と、限界を迎えた呪いが、穏やかな「調律」の時間を暴力的に引き裂く。 黒霧に飲み込まれ、理性を失いかけるアルフレート。エルンは傷つきながらも、その名を呼び続ける。 夜の檻の中で交わした、たったひとつの約束のために。 ――アルフレート。 その名が、闇を裂いたとき。 二人が朝日の中で呼び合った「本当の名前」とは――。 凍てついた心と体を体温が溶かす、孤独な王子と不遜な調律師が出会う、切なくも美しい救済の物語。

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エブリスタ
エブリスタ2026/03/09
  • 現在の作品星を食む聖獣と、指先の調律師 ―白銀の檻のアルフレート―