あらすじ
私は痛みが好きだ。
精神的な痛みではない。
身体に残る痛みだ。
アザや傷跡として残り、
そこに確かに存在していたとわかるから。
耳に障害を持って生まれた私は、
家族の中で「娘」ではなく
「かわいそうな障害者」として扱われていた。
言葉は届かず、
居場所もなく、
十六歳のとき私は家から飛び降りた。
死ねなかった私を救ったのは、
愛媛から来た一人の青年だった。
そして数年後、
私は「痛み」と出会う。
縛られること。
鞭で打たれること。
それは普通の人には暴力に見えるかもしれない。
でもその痛みは、
私を一人の人間として扱い、
「ここにいていい」と教えてくれたものだった。
これは、
痛みの中で初めて
自分の存在を肯定できた
一人の人間の記録。