あらすじ
「お前の手紙など、誰でも書ける」——建国記念の舞踏会で、婚約破棄を告げられたリーネ。病弱を理由に表舞台に出られない彼女は、3年間「文通係」として王太子アルベルトの外交書簡を全て代筆してきた。五カ国語での書簡対応、暗号文の作成と解読、隣国との密約——王太子が「自分の才能」と信じていたものは、全てリーネのペンから生まれたもの。だが殿下は、美貌の男爵令嬢セレナに心を奪われ、リーネを切り捨てた。静かに王宮を去るリーネの鞄には、未投函の手紙が一通。隣国王子エドヴァルド宛ての、公式記録に残っていない七十三通目——そこには「密約」の全てが記されていた。追放された令嬢が握る秘密とは? そして、3年間の文通の先で待っていた真実とは? 誰かの名前で書き続けた少女が、初めて「自分の言葉」で綴る物語が、今始まる。